インドの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!

(Dan Ruth)

インドの葬式・葬儀はどんなものか、あなたは想像できますか?インドは国土も広く多民族国家です。人々の信仰する宗教も異なりますので、一概に葬式や葬儀のマナーを語ることはできません。そこで今回は、インドで多数派を占めるヒンドゥー教の葬式を中心に、インド在住の筆者がその概要をご紹介します。

事前にインドならではのマナーを知っておくことで、いざという時に粗相をしないよう心に留めておきましょう。

 

インドの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!

 

1. インドの葬式・葬儀の基本

ヒンドゥー教では人は亡くなると火葬をするのが一般的です。火葬をして灰になった遺骨は、聖なる河・ガンジス川に流します。つまり、火葬して自然葬を行うのがヒンドゥー教での葬式の基本となります。このため、インドではあまりお墓を見かけることがありません。人口の13パーセントを占めるイスラム教徒や、数パーセントしかいないキリスト教徒はお墓持ちます。インドの観光スポットとして有名なタージマハルは、イスラム教のムガール帝国のお妃様のお墓です。

 

2. 葬式でのマナー

インドで葬式に参列することになったとき、どんなことに気をつけたら良いでしょうか?まず、葬式にはどんな服装がふさわしいのでしょうか。日本や欧米では喪服といえば黒色ですが、インドでは白色が基本です。男性は白いクルターシャツという襟なしのシャツを着用する人が多く、女性は白いサリーに身を包みます。また、インドの葬式では日本の香典のように、封筒に入ったお金を渡す習慣はありません。葬式でお金を受け取ること自体を拒む家庭もあります。もし渡すとしても少額で良いでしょう。

 

3. 葬式の流れ

インドの葬儀は長期間に渡ります。インドで働いている日本人の中には、「父が亡くなったので1ヶ月間帰省したい」と、インド人の部下から言われて、びっくりする方もいらっしゃるでしょう。日本人の思う忌引の日数よりも、随分長いのですが文化の違いなので仕方ありません。

インドでは人が亡くなると、まずそのエリアの管轄の火葬場で火葬してもらいます。遠方の親族が集まるまで数日待つケースもありますが、暑い国ですのでなるべく早く火葬するのが一般的です。火葬した後、4日待ってから骨を拾いにいきます。煉瓦造りの昔ながらの火葬場なので焼けるのにも時間がかかりますが、4日後でも遺骨は熱いままだそうです。その遺骨に牛乳と水を混ぜたものをかけて、冷やして拾うのです。その後、遺骨とともに親族でお寺に行き、僧侶に祈りを捧げてもらいます。これはほとんど日本の葬儀と同じです。遺骨の入った壺を故人の長男が持ち、ガンジス川に流します。ここまで、2週間から4週間はかかります。

 

4. インド人の死生観

インド人の死生観は日本人と異なる部分があります。まず多くのインド人は、自分の運命というものを知っています。生まれると同時に、生まれた時間や場所から占星術を使って、運命のノートのようなものを占い師が書き記すのです。このノートには、その人の亡くなる日時も書かれています。知人のインド人曰く、この死亡予想日は高確率で当たるそうです。

いつ亡くなるかを知っていることで、「来るべき時が来た」という感覚で死を捉えることができると言います。もちろん、家族の死はとても悲しいのですが、一方で運命を受け入れるという気持ちもあるそうです。そして、遺骨をガンジス川に流すことで、故人は聖なるものと一体となることができます。インド人みんなが大切にする川へ流すということが、死を納得する一つの理由付けになっているのでしょう。

 

5. 地域差のある葬儀のやり方

葬式や葬儀のやり方には、地域差があります。南インドでは、大往生で亡くなった方を弔う時、きれいな籠に故人を乗せて、大名行列のように賑やかに行うことがあります。大往生するというのは素晴らしいことなので、親族や近所の人たちと一緒に盛大に送り出すのです。先導の人が道に花びらを撒き、爆竹を鳴らしながら歩いていく一行は、楽しそうにも見え、お祭りのような雰囲気です。

また、同じく南インドでは、ガンジス川が遠いせいか、他の聖地に遺骨を流すこともあります。例えば、インド最南端のカーニャクマリや、ラーマヤーナ伝でお馴染みのラメシュワラムは、南インドの人々にとって人気の高い聖地です。

 

6. 聖なる河・ガンジス川でのマナー

ガンジス川はインド人にとって聖地ですが、外国人からすると人気の観光スポットです。ガンジス川を見にいく時、たいていの人は中流にあるバラナシという街に行きます。ここは最大の聖地であり、川沿いに火葬場があることで有名です。外国人の私たちからすると、火葬場があったり、火葬されないまま流されている遺体があったりなど、興味深い光景が広がっている場所です。けれども、火葬場を写真でおさめることは厳禁です。

インド人がこぞって行なっている沐浴も、日本人にはおすすめできません。ガンジス川は水質汚染が進んでいて、免疫のない日本人は赤痢などの感染病にかかってしまいます。また、ガンジス川は急に深くなる箇所があり、流れも意外と速いので、ガンジス川で泳ぐのはやめておきましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?
インドの葬式や葬儀は地域や宗教によって違いますが、ヒンドゥー教の葬式について解説しました。日本と異なるインドの葬式ですが、故人を悼む気持ちは同じです。もし参列する際は、葬式のマナーについて、故人の家族に直接確認するのが一番でしょう。

 

インドの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!

1. インドの葬式・葬儀の基本
2. 葬式でのマナー
3. 葬式の流れ
4. インド人の死生観
5. 地域差のある葬儀のやり方
6. 聖なる河・ガンジス川でのマナー

 


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