所変われば葬式・葬儀の形式やマナーも変わるもの。特に宗教的な歴史を全く異にするヨーロッパのお葬式は日本のものと異なります。今回は、中欧オランダの葬式や葬儀の形式やマナー、服装などの特徴をご紹介します。もしオランダ式の葬儀に参加する際には、かなり日本と異なる点があるので、失礼のないようしっかり準備しましょう。
オランダの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!
1. 葬儀は死後5日、その間招待状を送る
オランダでは家族が他界すると、その5日後に葬儀をするのが通例です。その間に招待状を送り、参列者を募るのが一般的。基本的には家族のみで葬儀を終わらせる家庭も多いものですが、これは遺族や他界した本人の意向によってさまざまです。中には新聞に葬儀の案内を載せて参列者を募る場合もあるようです。この5日間の間、遺体は遺族や故人の家に安置されています。2階で亡くなったとき以外、遺体を階上に運んではいけないというルールがあるため、リビングで安置する家庭も。
もちろん病院や専用のセンターなど自宅以外で安置されることもあります。オランダで葬儀の招待状を受け取った場合ですが、日本でいう香典は一般的ではありません。花を贈るか、お悔やみの言葉を贈るのが良いでしょう。また、様々な宗教の人が住むオランダですから、故人と宗教が違う場合は参列しないというのも普通の考え方です。
2. 宗教によって葬儀形式が違う
前述した通り、オランダには様々な宗教的背景を持つ人が暮らしています。葬儀形式も故人や遺族の宗教によって形が変わることを覚えておきましょう。日本では多くの人が仏教形式、または神道の形をとることが多いですが、オランダは無宗教の人も多く、神父を呼ばない葬儀も一般的です。神父を呼ばない葬式の場合、遺族がスピーチをするなど簡易な式となるようです。その場合、式はなんと30分ほどで終わることも。また、日本人からすると珍しい形ですが、遺族が故人を偲ぶムービーを作り、BGMも考えて式場で流すという場面も見られます。
3. まるで結婚式を思わせるメモリアルカード
オランダでは、故人のメモリアルカードを参列者に配るという日本にない取り組みもあります。故人の写真を据えたカードにどんな人物だったのかなどのプロフィールを載せて故人を思い出してもらうようです。例えば、「彼はシンプルな生活を好み、真面目で優しい、犬好きでした」など、遺族手作りのカードと共に故人を思い出すことができます。日本では結婚式で見かけるタイプなので不思議な印象を受けますね。前項で述べたムービーやBGM、このメモリアルカードも、故人が亡くなってから5日間に準備が行われます。
4. 棺の前でのお別れは人それぞれ
葬儀の服装は、日本では「喪服」と決まっていますが、オランダでは明確なマナーはありません。逆に暗すぎる色は好まれないこともあり、落ち着いた格好で参列するのが普通。男性はチャコールやダークネイビーブルーなどダーク系のスーツが一般的でネクタイはしてもしなくても良いようです。女性もグレーや紺色などのダーク系の服で、スカートでもパンツでも、と決まりはありません。ジーパンは避けた方が無難ですが、中にはジーパンで参列するオランダ人もいます。
日本の焼香のように一人一人が故人の棺の前で故人を偲び、別れます。このお別れの仕方もやはり宗教や個人によって違いがあり、十字を切る人もいれば、棺に触れるなど各々別れを惜しみます。オランダ人でも故人に向かってお辞儀をするという人もいるようです。ここにもやはり決まったルールはなく、マナーよりもいかに故人を想っているかの方が重要です。
5. 土葬より火葬が主流のオランダ
アメリカやイギリスの映画で土葬のシーンをよく目にするかと思いますが、オランダでは現在火葬が主流となっているようです。日本のように地下に骨壺を収めるタイプとは異なり、墓に骨壺を置けるタイプの墓石も多くあります。日本人が見ても遠目にはとてもお墓とは思えないモダンな印象を受けます。
6. 火葬場へ遺灰を取りに行くのは1月後!?
日本と同じく火葬が一般的なオランダですが、日本とは異なり、葬儀の後に火葬場に同行して最期の別れをすることはありません。もちろん、遺骨を集める作業もありません。したがって、葬式の最中が故人との最期の別れとなります。その時にしっかり別れを伝えておきたいですね。ちなみに驚くことに、火葬された遺灰を受け取りに行くのが1ヶ月後ということもざらにあるようです。遺灰を受け取るまでが「葬儀」という日本人の感覚とは大きく異なるところです。
まとめ
いかがでしたか?
オランダでは日本よりも葬儀のマナーは決まっておらず、その形式も家により様々。何よりも故人を偲ぶ気持ちが大切です。遺族に以下のようなお悔やみの言葉を伝えるといいかもしれませんね。 Ik wil mijn oprechte medeleven betuigen op deze zwarte dag.(心よりお悔やみ申し上げます。)
オランダの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!
1. 葬儀は死後5日、その間招待状を送る
2. 宗教によって葬儀形式が違う
3. まるで結婚式を思わせるメモリアルカード
4. 棺の前でのお別れは人それぞれ
5. 土葬より火葬が主流のオランダ
6. 火葬場へ遺灰を取りに行くのは1月後!?