日本と韓国の軍に対する6つの考え方の違いとは?

日本と韓国の軍に対する6つの考え方の違いとは?

日本では軍人といえば遠い存在のように感じるかも知れませんが、多くの韓国人にとって軍人はとても身近な存在です。世界中で最後の冷戦地帯である朝鮮半島では、今もなお南北が対峙する「休戦」という厳しい状況が続いています。このような歴史的背景から、すべての韓国人成人男性には約2年間の兵役義務が課せられています。従って韓国人にとって家族や親戚、友人、知人の中に兵役中の者がいることは特別なことではありません。今回は、韓国の軍に対する考え方を日本と比較しながらご紹介します。

 

日本と韓国の軍に対する6つの考え方の違いとは?

 

1. 韓国人男性の当たり前の義務

韓国人男性が韓国で生きていく上で、軍隊生活は避けては通れない道です。全ての男性は満18歳で徴兵検査対象者となり、30歳の誕生日までに必ず入隊しなくてはなりません。身体検査や適性検査を通じて健康上の特別な問題がない限り、陸軍、海軍、空軍、陸軍海兵隊などの現役兵として入営します。期間は陸軍21ヵ月、海軍23か月、空軍24ヵ月等、部隊によって多少異なりますが、平均して約2年程度と、過去に比べて年々短縮される傾向があります。一般的に多い入隊時期は大学1~2年生の時期でしょうか。大学を休学して兵役に就くケースが最も多く、除隊後に「復学生」として大学に復帰します。つまり男女が大学に同時に入学しても、必然的に女性のほうが2~3年先に卒業するのが普通で、韓国人男性の社会人デビューは平均的に25~26歳と遅くなるのが一般的です。

 

2. 本音は行きたくないけれど…

「軍隊生活を通じて一人前の大人になる」「軍隊に行ってこそ韓国男児」「親への感謝、愛国心は軍隊生活で育まれる」等々、軍隊での経験を肯定的に捉える表現も多数ありますが、大多数の韓国人にとって軍隊は、「できれば行きたくない」というのが本音でしょう。しかし、免除対象に該当しないのに兵役義務を逃れることは違法であり、財閥や大物政治家の子息、芸能人等の有名人が意図的に障害診断を受ける等の方法で兵役逃れしたというニュースは、しばしば社会的に厳しく非難され槍玉にあげられています。韓国では履歴書にも兵役義務を終えたかどうかを記入する欄があるため、兵役は就職活動をする上でも必須の条件です。更に、兵役義務を終えていない25歳以上の男性は、海外旅行も厳しく統制されるなど、兵役逃れはそう簡単にできることではありません。

 

3. 一目置かれる海兵隊!

どうせ逃げられないなら、生涯のステイタスになる軍隊生活を!と、敢えて訓練と規律、上下関係が最も厳しく過酷といわれる陸軍海兵隊に志願する人もいます。ヒョン・ビンをはじめ、有名な芸能人の中にも海兵隊に志願入隊するケースが多々あり、海兵隊出身といえば社会的にも一目置かれる存在です。海兵隊出身者のネットワークと絆は非常に強く、たとえ同時期に軍隊生活を送っていなくても、初対面であっても、年齢的に差があっても、互いに強く結束する傾向があります。

 

4. 実際の軍隊生活は?

入隊を決め、検査を終えた男性たちは、正式に部隊に配属される前に、新兵訓練所で5週間程度の基本的な軍事訓練を受けます。芸能人の入隊ニュースでよく見かけるのもこの新兵訓練所の入口で、頭を丸めた男性が多くの家族や友人、恋人に見送られて入所していきます。ここでの「訓練兵」期間を終えた後、各自部隊に配属され本格的な服務が始まります。戦争を想定した厳しい訓練、暴力がはびこる厳しい上下関係、携帯電話の持ち込み不可、プライベートな空間がない劣悪な兵舎の環境…等、軍隊生活といえば否定的なイメージばかりが連想されますが、最近は2段ベッド等が完備された現代的な兵舎や、面会や電話、ネットの使用制限が少し緩まる等、少しずつ時代に合わせて変化しています。休暇は4日~10日程度の休暇が服務期間中に3~4回は貰え、面会や差し入れも可能です。

 

5. 一番の楽しみは?

過去に比べると軍隊生活も進化しているとはいえ、何不自由なく育ってきた10代の若者にとって、軍隊という特殊な環境での団体生活はかなり辛く厳しい時間です。服務真最中の現役兵にとって最も大きな楽しみは、休暇や家族、恋人との面会、差し入れの小包や手紙、女性アイドルグループの慰問公演でしょう。休暇中であっても軍服着用が規則であるため、軍服姿の軍人と女性がデートしている姿など、韓国の街では自然に見られる光景です。

 

6. 服務終了後の20年間

無事に服務を終えて一般社会に復帰した後も、40歳までは完全な「民間人」に戻れません。韓国人男性は除隊から8年間、「予備軍」として年に半日から3日程度、数回の再訓練を受ける義務があり、これを「予備軍訓練」と呼びます。訓練の通知書を提出すれば、会社や大学を休んでもよいことになっています。普通のサラリーマンが予備軍訓練のために軍服、軍靴を身につけて訓練を受けにいく様子は、日本では考えられない風景かも知れません。この予備軍を終了した後は40歳まで、災害やテロ、非常事態に備えた「民防衛」という、年に一度の簡単な訓練を受けなければなりません。つまり韓国人男性は20歳で入隊したとしても、完全に軍隊から解放されるまで20年もかかるのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
韓国の徴兵制度は日本人の目から見ると不思議に映るかも知れませんが、韓国の政治情勢や近現代史を勉強すれば、必要不可欠な制度であることが理解できるかと思います。一見平和に見えても、地上で唯一の分断国家であり、休戦中という悲しい現実が、韓国の若者に厳しい軍隊生活を義務付けているのです。国防の必要性は否定しませんが、早く平和が訪れ、貴重な青春の2年間を強制的に軍隊生活に捧げる必要がなくなることを、多くの韓国人も願っています。

 

日本と韓国の軍に対する6つの考え方の違いとは?

1. 韓国人男性の当たり前の義務
2. 本音は行きたくないけれど…
3. 一目置かれる海兵隊!
4. 実際の軍隊生活は?
5. 一番の楽しみは?
6. 服務終了後の20年間

 


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