フランス色が凝縮された超おすすめフランス映画10作品!

あなたはフランス映画はお好きですか?フランス映画と言うのは、街や自然の美しさが活かされているものが多く、鑑賞中に自分がフランスの街中にいる様な気持ちになれたり、旅行中に見た忘れられない風景が目の前で見ているかのように思い出される事もあります。フランス映画には文学的な作品が多く芸術作品として扱われています。リアリティのある作品が多く、英米の映画で必ず出てくる社会的地位や階級などは、フランス映画の中では滅多に出てきません。ストーリーの中に起承転結があまり見られず、台詞を多用しないで淡々とした描写で主人公や登場人物の心理を描いて、心の領域を表現しています。また、フランス映画のラストはとても特徴的です。一切の映画に劇的なラストはなく、エンディングロールが出てくるまで終わった事すら気づかない様な終わり方をします。このため、フランス映画は好きな人と嫌いな人がハッキリと分かれてしまいます。嫌いな人には、どこか暗い感じで退屈に感じるでしょうが、好きな人には何度でも見たいと言う気を起させる映画でもあります。今回は、日本未公開の映画も含めて、フランス国内で人気を博した映画など、あなたにご覧になって頂きたいおすすめフランス映画10作品をご紹介します。

 

フランス色が凝縮された超おすすめフランス映画10作品!

 

1. クロワッサンで朝食を / 原題・Une Estonienne à Paris.

日本では2013年7月20日に公開されたフランスの大女優ジャンヌ・モローの10年ぶりの主演映画です。舞台はパリ16区の高級住宅街に住む孤独な老女〈ジャンヌ・モロー)と彼女の自宅に住み込みで家政婦として働き出したエストニア女性の物語です。2人の年令は母と娘ほども違いますが、境遇や性格が全く異なる2人が切磋琢磨しながら次第に心を通じ合わせていくと言う人間ドラマで実際にあった「実話」です。上映時間は95分です。

この劇中には、パリの街並みや観光名所が出て来ます。パリを旅した事のある方には懐かしく感じられるでしょうし、これからパリへ行く方には街並みを見る事が出来るでしょう。また、フランスの女性は高齢であろうと素敵なお洋服を身にまといます。一切の若作りをせずに年齢を重ねるごとに美しくなるのがフランス女性です。是非、ヘアスタイルやファッションにも注目して頂きたいと思います。家政婦アンヌのパリの案内役のフリーダ(ジャンヌ・モロー)が着ているお洋服は、ご本人のシャネルの私服です。素敵なので是非、お見逃しなく。

この映画は、フランス語が非常にきれいです。初心者にも聞き取りやすいと思いますので、字幕版でご覧になられる事を強くおススメします。

 

2. クリクリの居た夏 / 原題・Les enfants du marais.(沼地の子供達)

日本では2000年7月8日に公開された、1999年にフランスで公開され200万人を動員したビッグヒット記録を持つ映画です。舞台は1930年代の初頭、第一次世界大戦後のフランスののどかな田舎町で暮らす、少し頭の弱いクリクリのパパ・リトンと、そんな彼をいつも助けてくれる流れ者の復員兵・ガリスの人間味あふれるフランス映画です。上映時間は115分です。日本の題名では「クリクリの居た夏」となっていますが実際には、このクリクリが主役ではなく大人になったクリクリの回想録です。クリクリはリトンの末娘で可愛い女の子です。

この映画はフランスの田舎なら、どこでも見られる様な光景が沢山出て来ます。そしてカエルを取ったりカタツムリを捕まえたり、すずらんをブーケにして売ったりしながら日々の生活の糧にして、お金はないけれど精神的に豊かな暮らしをしていて、心の豊かさを思い起こさせてくれるフランスらしいフランス映画です。貧乏でも不幸ではないと言うこと、人生における豊かさはお金ではなく心の豊かさなんだと思わせてくれる映画です。心が疲れてしまった時や、便利なものに囲まれて何不自由なく暮らしているけれど、何となく心が寂しいと言う時に是非ご覧になって頂きたい映画です。貴女も、こんな田舎で暮らしてみたくなるかも知れません。

 

3. ルノワール 陽だまりの裸婦 / 原題・Renoir.

日本では2013年10月4日に公開された、印象派画家ピエール=オギュスト・ルノワールの晩年を描いた映画です。舞台は1915年の第一次世界大戦真っ只中の南フランスのコートダジュールです。彼の曾孫の伝記を素に作られた映画で、第65回カンヌ国際映画祭受賞した作品です。フランスでは2012年に公開されました。上映時間は115分です。リウマチで自由の利かない体で苦しみながらも、意欲的に創作を続けたルノワールと、彼の作品のモデルになった女性達の物語です。ルノワールの妻が亡くなった後に、彼女に頼まれてきたと言う絵画モデル志望のアンドレを喜んで迎えるルノワールが、彼女をモデルに裸婦画を描きあげていくのですが、映画自体は非常に淡々と進みます。特に山場はありません。

この映画は、画面そのものがルノワールの絵画の様に非常に美しいです。まるで絵を見ているような感じに囚われます。映画好きな方だけでなく、絵画の好きな方にも是非見て頂きたい映画です。また、フランスらしさが随所に出ている作品でもあります。特に家の中の家具や、小物、食器、室内などフランスの家の中がそのまま覗ける作品でもあるので、是非そこにも興味を持って見て頂きたいと思います。

 

4. 戦争より愛の関係 / 原題・Le nom des gens.

日本劇場未公開の映画です。フランスでは2010年に公開され、第36回セザール賞を受賞した思想的で政治色の強い映画です。上映時間は95分です。この映画はジョスパン派で、女性と長続きしない生真面目な中年男性と、自分の体を武器に右派の男達と寝て相手に政治的方向転換をさせるコメディ映画です。しかしながら通常のコメディと違って、ヒロインは常にルーズでセクシーなファッションを身にまとい、大胆な脱ぎっぷりで惜しげもなく裸体を晒しているエロティック極まりない作品です。子供には不向きな大人向けの映画ですが、これぞフランス!とも思わせる感じもあります。

フランスの複雑な社会問題として、児童への性的虐待や人種差別などが随所に描かれている作品で内容的にはシビアです。また、アルメニア難民やヴェルディブ事件、アルジェリア戦争、フランスの原発反対運動やフランスの社会党などが理解出来ないと、観ていても面白さが感じられずに、単なるエロティックなコメディ映画に感じてしまうかも知れません。また、劇中で元フランス首相のリオネル・ジョスパンが本人役で出演しているので見逃さないで下さいね。

 

5. 黄色い星の子供達 / 原題・La Rafle.

日本では2011年7月23日に公開されたユダヤ人の一斉検挙・ヴェルディヴ事件を事実に基づいて、子供の視点で描いた映画です。舞台は1942年の夏のパリです。7月16日午前4時に行われた外国籍を持つユダヤ人の一斉検挙から、その後に冬季競輪場のヴェルディヴへ移送され、そのヴェルディヴでの騒動や、更にその後に移送された収容所での物語です。ヴェルディヴ事件の生き残りの生存者からの話を素に制作されていますが、ドキュメンタリー映画ではないので、事実とは異なり脚色されている部分もあります。上映時間は125分です。

ナチスの支配下にあったフランスで、ユダヤ人は洋服の胸に黄色い星を付ける事を義務付けられていました。欧米では常識でも、日本ではあまり知られていないので、戦争や社会制度、人種差別などを考えさせられる作品です。劇中でヴェルディヴに於いて、フランスの消防団がホースの点検に来た時にこの惨状を目にして、1度だけですが収容者たちに水を配り、こっそりと手紙を預かるシーンがあるのですが非常に感動します。また、このヴェルディヴのシーンから、人気俳優のジャン・レノが医師役で登場します。ジャン・レノが好きな方にもおススメです。この映画の冒頭では、その当時のパリ市内が見られます。また、この事件の最中にフランス人によって1万人のユダヤ人が匿われて命を助けられたと言う事実と、この歴史的事件を是非知るのに非常におススメな映画です。

 

6. 麗しき日々 / 原題・Les beaux jours.

日本劇場未公開の映画です。フランスでは2013年に公開され、結構な人気を博した大人のラブロマンスです。上映時間は95分で非常にフランスらしい映画になっています。60歳の元歯科医師女性が、仕事を止めてしまい家で退屈にしているところへ娘からカルチャースクールの体験教室を勧められ、気乗りしないながらも出かけて行きます。そこで知り合った息子程に年の離れた講師の男性と浮気をしてしまうと言うストーリーです。女性の夫は医師で、お金にも困らない裕福な生活をしており。娘も2人、孫も居ます。それでも女ならだれでも良いと言う感じの若い男性にのめり込んでしまうヒロインが見ものです。フランスの60歳代の女性のファッションやヘアスタイルにも注目して頂きたい作品です。フランスでは、この年の差カップルが意外にも多く居ます。他人の目を気にしない事もあるのかも知れませんが、フランス人の大人の恋愛事情が見られる映画です。

 

7. 突然みんなが恋しくて / 原題・Et soudain tout le monde me manque.

日本劇場未公開の映画です。フランスでは2011年に公開されました。上映時間は98分です。メラニー・ロラン主演のフランスの複雑な社会事情、離婚や再婚、養子、居父母兄弟姉妹などをユーモアを交えて描いているロマンスコメディーです。変わり者の父親が再婚相手との間に子供を儲けたり、娘の彼氏や元カレと個人的に連絡を取って会ったりなど日本では有り得ない展開が盛りだくさんです。自分が死んでしまう事を悟った父親は、自分の死んだ後に娘が寂しい思いをしない様にと元カレを呼び集めておいたりします。

この映画は日本人のモラル的には有り得ない事が多いのですが、フランスでは普通にある事ばかりですので、フランス社会をよく知りたい方には是非おススメです。年齢や、性別、未婚か既婚か、また子供は男女どちらなのかによっても評価が分かれる映画です。劇中の父親同様のシチュエーションならば主人公の気持ちが非常に良く理解出来ると思います。しかしながら、それ以外の方には駄作にしか感じられないかも知れません。

 

8. 最強のふたり / 原題・Intouchables.

日本では2012年9月1日に公開された映画です。フランスでは2011年の11月に公開され大ヒットしロングヒットになりました。日本でも数々の人気映画と並んで上映され人気を博したので御存じの方も多いかも知れません。これは巨大なお屋敷に住む、脊髄損傷を患った障害者の白人と、刑務所から出たばかりの貧しい黒人青年の物語で2人は正反対の性格、年齢ながらも次第に友情を築いていくと言う実話に基づいた映画です。フランスに行った気分になれる映画ではないけれど、心温まる映画です。

不慮の事故で車椅子生活になってしまったフィリップですが、新しい介護者を探していた時に不採用通知のハンコを目当てにやって来た黒人のドリスを「明日から」と雇い入れます。劇中で何度となく見れる2人の笑顔に心が温まる事間違いありません。この映画も是非、字幕版で見て下さいね。とてもいい映画なので是非おすすめです。

 

9. パリジュテーム / 原題・Paris,Je t’aime.

日本では2007年3月3日に公開されました。フランスでは2006年に公開されたパリの1~18区までを舞台にした6分間の恋愛ドラマ集です。18本それぞれの監督が異なり、各地区ごとの面白さも出ていて、非常に見やすいです。たまに脇役で有名な俳優さんが出ていたりするところも見ものです。これは非常に色んな人のフランス語が一度にまとめて聞けるので、絶対に字幕版で見る事をおススメします。

第一話のモンマルトルでは、車の駐車に困難を極めるシーンが出て来ますが、駐車する際のフランスならではのテクニックが出て来ますので是非見て下さい。他にもセーヌ河岸での男の子のナンパ事情や、チュイルリーでも地下鉄のバカップルとのトラブル、パリ市内で有名なペール・ラシェーズ墓地なども出て来て、見どころ満載の映画です。

 

10. アルティメット / 原題・Banlieue 13.

日本では2006年7月15日に公開されました。フランスでは2004年10月10日に劇場公開され、1か月で90万人を動員した大ヒット映画です。舞台は近未来のパリで、治安が悪化してどうにもならなくなった為に市内から隔離されたバンリュー13地区です。フランス政府から盗まれた爆弾が、このバンリュー13地区に運び込まれてしまいます。その為に、この爆弾の解除に潜入捜査官が向かいます。

この映画は。リュック・ベンソンが制作と脚本を担当した非常にハードなノンストップアクション映画です。映画の主役はスタントマンのシリル・ラファエリとビルを素手で登ったりするパフォーマンス集団の創始者ダヴィット・べルのダブル主演です。この2人は本物のアスリートなので劇中の全てのアクションを自分達でやっていてスタントが非常に素晴らしく、スピード感にあふれています。これらは「パルクール」と言って、自分の肉体1つであらゆる障害物w乗り越えたり、飛び越したり、登ったりする一種のスポーツとも言える様な行動形態の1つになっています。このアクション全てが本人達のものだと言うことも事前に知ってから見て頂きたい映画です。最初から最後まで本当に楽しませてくれるスタントは是非、おススメです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はフランスでも大ヒットした映画やフランスらしい映画を10作品ご紹介させて頂きました。ご覧になられて思うのが、この先に続編があるのかな?と思われるかも知れませんが、これぞフランス映画の魅力とも言える終わり方です。あまり派手な映画はなく、何となく地味さが感じられるリアリティーさもフランス映画ならではです。フランス映画を堪能する時には、自身のフランス語の勉強にも役立ちますので、字幕版でご覧になられて下さいね。

 

フランス色が凝縮された超おすすめフランス映画10作品!

1. クロワッサンで朝食を / 原題・Une Estonienne à Paris.

2. クリクリの居た夏 / 原題・Les enfants du marais.(沼地の子供達)

3. ルノワール 陽だまりの裸婦 / 原題・Renoir.

4. 戦争より愛の関係 / 原題・Le nom des gens.

5. 黄色い星の子供達 / 原題・La Rafle.

6. 麗しき日々 / 原題・Les beaux jours.

7. 突然みんなが恋しくて / 原題・Et soudain tout le monde me manque.

8. 最強のふたり / 原題・Intouchables.

9. パリジュテーム / 原題・Paris,Je t’aime.

10. アルティメット / 原題・Banlieue 13.


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