中国の新幹線、高速鉄道!利用前に知るべき6つの事

新幹線と言えば世界に誇る日本の高速鉄道。昨今は、中国にもわが国の新幹線に匹敵する高速鉄道が実用運転されています。ほんの少し前までは、広大な中国を走る列車のほとんどはディーゼル機関車に引かれた列車だったのに、隔世の感があります。そうは言っても中国の鉄道は、日本に比べると気楽に乗り降りできる交通機関とは言い難い面もあります。今回は、中国の新幹線を利用するにあたって、中国の鉄道事情から少し押さえておきましょう。

 

中国の新幹線、高速鉄道!利用前に知るべき6つの事

 

1. 日本の鉄道と大きく異なる事がたくさん!

日本にはJR各社(元は日本国有鉄道)や大小の私鉄、地下鉄や路面電車など、様々な鉄道が張り巡らされています。誰でも気軽に切符を買えて、来た電車に気軽に乗車できます。最近は切符を購入することなくICカードでタッチして改札に入ることが多いかもしれませんが、基本的には気軽です。営業時間内であれば、改札から駅には自由に入ることができますし、入り口もたくさんあります。駅そのものが商業施設化している場合もあります。もはや乗り降りするだけの場所ではない時代です。

いっぽうで中国の鉄道は日本と大きく異なります。まず駅ですが、基本的に改札口はどんなに乗り降りの多い駅でもひとつしかありません。例えば日本の東京駅のように改札口が沢山あるような駅はありません。また、営業時間内であればいつでも自由に出入りできるわけではなく、改札が開くのは該当列車が入線する数分前だけ。それ以外の時間は改札は閉まっています。かなり不便さを感じると思います。

 

2. 世界の発展過程とは少し違う中国の事情

中国は日本の高度成長期を彷彿とさせる経済発展を遂げて来ました。極めて似ている部分と、全く似ていない部分があります。一言で言うなら”中抜き”です。例えば日本の鉄道の進化を想像してみて下さい。蒸気機関車、ディーゼル機関車、電気機関車と、発展のプロセスを踏んで、その後に新幹線という高速鉄道が生まれています。つまり、世界の先進国が踏んで来たプロセスと同様に技術は発展し普及を遂げています。

しかし中国の鉄道はというと、全国には電気供給で走っていない路線がまだ至る所にあるというのに、日本でも実用化されていないリニアモーターカーが営業運転されています。世界の先進国が踏んで来たプロセスを踏まずして、最先端の技術がいきなり市場導入されて普及しています。つまり”中抜き”で時代が進んでいるのです。

約40年遅れで、日本の高度経済成長の後追いをしているかの様に思われている方もいると思いますが、事実は少し違って、先進国の過去のプロセスを踏襲することなく現代化しているのが今の中国なんです。鉄道も同様です。リニアモーターカーにしても、新幹線に似ている高速鉄道にしてもそうです。急速に現代の先端化しているので凄いと思う面もありますが、歪も有している、諸刃の発展だと筆者は考えています。

 

3. 高速鉄道発展の歴史

驚くことに1993年時点の中国の鉄道の平均速度はたったの時速48キロ。それが今では世界最高時速486キロを記録するまでに進歩しているんです。背景としては1997年から2007年までに6つの段階で行われて来た、鉄道高速化の政策実行があります。北京-広州、北京-上海、北京-哈尓浜の三大幹線を中心に実施されて、2007年には最高時速250キロを超える実用運転が開始されました。それでも実は全国の鉄道の平均時速はまだ70キロでしかありません。つまり高速鉄道はまだまだ中国全土の一部に走行しているに過ぎないのです。

 

4. 高速鉄道の種類

いわゆる中国版新幹線とも呼ばれる中国の高速鉄道ですが、鉄道車両の種類は多彩です。というのも、国産化されるまでの間、世界の主要高速鉄道国からの技術支援によって車両が製造されたからです。中国の高速鉄道は、英語でChina Railway High-speedと記載されて、略してCRHとも呼ばれています。各国の技術によって製造された車両には、このCRHという文字と数字が組み合わされて呼称されています。

CRH1:ドイツのボンバルディア・トランスポーテーションのReginaがベース
CRH2:日本の川崎重工業車両カンパニーの新幹線E2系電車がベース
CRH3:ドイツのシーメンスのヴェラロ (ICE3) がベース
CRH5:フランスのアルストムのETR600がベース。

その後、CRH6からは中国の車両メーカーが独自に製造を開始しました。CRH380A、CRH380B、CRH380C、CRH380Dがその代表車両です。この様な背景から、中国の高速鉄道の車両デザインは、主要3カ国の高速鉄道が軒を連ねている様な様相です。

 

5. 高速鉄道の路線

中国全土の高速鉄道路線網は、総延長距離が1万キロ。広大な国家ですから、既に日本の新幹線の総延長距離の4倍の距離に至っています。主要な高速鉄道路線は、前述の北京-広州(延伸して深圳北まで)、北京-上海、北京-哈尓浜路線です。この三大路線に加えて、大連-哈尓浜、上海-杭州、杭州-深圳北、上海-成都などの主要路線が運行中です。計画から建設、運用までの時間が短く、路線図や時刻表など系統だったものが無いので、非常にわかりにくいのが現実です。

 

6. 高速鉄道の乗り方

1.で述べたとおり、中国の鉄道は非常に不便です。乗ってしまえば良いのですが、乗るまでが大変なんです。とにかく封建的な共産党の仕組みそのものな組織なので、ネットでチケットを購入することも、座席を指定することもできません。基本は駅の窓口で切符を購入するのですが、列は長蛇ですし、窓口業務はいい加減ですし、わざわざ駅で並んで購入することはお勧めできません。ですので、旅行代理店で予約をして購入してもらうのが一番です。駅での乗り方も教えておいてもらった方がよいでしょう。

日本からでも、WEBで検索すれば、日本語で予約できる中国の旅行代理店サイトがすぐに見つかります。クレジットカードで決済し、メールでEチケットが送られてきますので、その控えを駅のチケット交換窓口へ行って切符を手に入れます。これは中国鉄道のサイトではなくて、民間のチケット代行業者です。また、中国にも日本語対応可能な旅行代理店が数多く存在していますから、そちらで問い合わせをして切符を購入するのがお勧めです。

あた、駅には日本の様に商業施設はありません。古臭いキオスクの様な売店がありますが、充実度は極めて低いです。車内販売もありますが、こちらも同様です。車内で飲食をする場合は事前に駅以外で購入されて乗車することをお勧めしておきます。それから、指定された座席に行くと、既に乗客がどーんと座っていることが多々あります。これは飛行機でも同様です。座席指定ができず、数人の旅行でも座席がまちまちに飛ばされるので、数人の旅行客が車内で勝手にまとまって座ってしまうのです。最初は戸惑いますが、顧客サービスをしない中国鉄道に対抗する為の庶民の知恵なので、そういう場面に遭遇したら、怒らずに話しを聞いて、座席を交換してあげて下さい。彼らはそうして皆で協力しあって鉄道の旅を楽しんでいるのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
中国の高速鉄道は、車両の走行自体は高速ですが、日本の鉄道や新幹線と比較するには遥かに遅れたシステムです。このことは、現代中国をある意味象徴しています。表面的には先進に見えるのですが、内実は旧態依然としていることが多々あります。それでも、それが中国であり、中国の一般市民はこういうシステムの中で生活しているのですから、そのことを知りながら鉄道で旅をするのも意味があります。ちょっと不便ですが、どうか中国の高速鉄道の旅を楽しんでください。

 

中国の新幹線、高速鉄道!利用前に知るべき6つの事

1. 日本の鉄道と大きく異なる事がたくさん!
2. 世界の発展過程とは少し違う中国の事情
3. 高速鉄道発展の歴史
4. 高速鉄道の種類
5. 高速鉄道の路線
6. 高速鉄道の乗り方

 


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