ネパール国旗を徹底分析!国旗から見える6つの歴史的背景

ネパール国旗を徹底分析!国旗から見える6つの歴史的背景

国旗って長方形じゃなくていいの?と思ってしまうくらい、ネパールの国旗はその形に圧倒的なインパクトがありますよね。世界の国旗には長方形のものが多いですが、実は真四角のものや、表裏でデザインが異なるものなど、いろいろな形のものがあります。今回は、ネパール国旗の謎を、形やデザイン、歴史から詳しく分析していきましょう。

 

ネパール国旗を徹底分析!国旗から見える6つの歴史的背景

 

1. 国旗の制定

まず、ネパールの国旗はいつ、どのように定められたのでしょうか。1962年、マヘンドラ国王は、近代化の集大成として憲法を定めました。その憲法で国旗をはじめ、さまざまな公式制度が明確かつ詳細に定められました。その憲法の中で、ネパール国旗は、ヒンドゥー教王国の国旗として制定されました。国旗はそれまで使用されてきた伝統的な図像を継承していると明言されており、幾何学的な作図法により詳細にわたり解説されています。

 

2. 世界唯一の国旗の形

ネパール国旗を徹底分析!国旗から見える6つの歴史的背景_1

ネパールの国旗が有名なのは、何と言ってもこの「形」にあります。世界の国旗の中で唯一長方形ではない形のネパールの国旗。この不思議な形の由来は何でしょうか?この国旗は実は2つの三角形で構成されているのです。三角形という形は、ピタゴラスの定理や、ピラミッド、色即是空、ヤントラ、ユダヤの六亡星など、世界各国で古来より使われているシンボルです。古来ヒンドゥーの神々も、三角旗とともに描かれていたといいます。また、ヒンドゥー寺院の入り口には、ブロンズ製で三角形を重ねた形の旗の銅像が建っていることが多くあります。ネパールでは、シャハ王家とラナ宰相家がそれぞれの三角旗を200年使用していました。宰相家が政治的な実権を握った19世紀以来、両家の三角旗を重ね合わせた二重三角旗を使用し始めました。そして1962年、これまでの形やデザインを継承し、現行の国旗が制定されました。また、2つの三角がヒマラヤ山脈を表しているとも言われています。

 

3. 太陽と月のように末永く繁栄する国歌を目指して

ネパールの国旗に描かれているシンボルは、月と太陽です。月の部分がシャハ王家、太陽の部分がラナ宰相家を表しています。現行の国旗制定は1962年ですが、それ以前の旗には、月と太陽の中に目鼻があり、ユニークな2つの顔が描かれていたのです。この2つのシンボルには、太陽と月のように国家が末永く繁栄するようにという願いが込められています。

 

4. 色が表す平和と勇敢さ

国旗に使用されている、赤と青の意味を紐解いてみましょう。2つの三角形は、青色で縁取られています。この青色が表すとされているのは、平和、澄み渡るヒマラヤの空、海(*ネパールに海は無いので真意は不明)です。赤色が表すとされているのは、国花のシャクナゲ、国民、勇敢さ、勝利です。

 

5. 国旗にまつわる問題

国旗は、時代によって変更されることもあります。ネパールも例外ではありません。1996年以降、内戦により国家は混乱を極めました。国王、議会、共産主義毛沢東派の三大勢力の争いが起き、議会の停止、武力対決勃発という事態に陥り、2001年には王族が次々と殺害されました。内戦は2006年まで続き、2006年には王家を讃える国歌も変更となりました。2008年には、240年続いた王政が正式に廃止されました。国旗には王家のシンボルが残っているわけですから、こうした場合、国旗は変更されることが多いのですが、ネパールの場合は国旗の変更には手をつけませんでした。国旗の新案なども提案されましたが、現行の国旗はネパール国民の統一シンボルであるという認識が強く、世界唯一の二重三角形国旗として人気があるためか、2015年現在では変更にはいたっていません。

 

6. 3万8千人の「人間国旗」でギネスに挑戦

2014年、首都のカトマンズにて3万5千人の国民が集まり、赤、青,白の色紙を掲げ、世界最大の「人間国旗」としてギネスに挑戦しました。主催者は、「国民が国旗のもとに団結していることを広めたかった」とコメントしており、このことからも国民の国旗への思い入れが伺えます。10年に及ぶ内戦で困難な時代を乗り越えてきたネパール。ギネスへの挑戦で、国民の団結を世界へと示すイベントとなりました。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
長い歴史の中で、ネパールの国旗は受け継がれ、それぞれの時代を反映してきました。国旗を紐解いていくと、様々な歴史や、国民の想いが浮かび上がってきます。「国旗が変わるかもしれない」という事態になったとき、それは混乱の時代、変革の時代であると言えるでしょう。内戦により混乱を極めたネパールですが、国旗にも表現されているように、平和と国家の末永い繁栄を願ってやみません。

 

ネパール国旗を徹底分析!国旗から見える6つの歴史的背景

1. 国旗の制定
2. 世界唯一の国旗の形
3. 太陽と月のように末永く繁栄する国歌を目指して
4. 色が表す平和と勇敢さ
5. 国旗にまつわる問題
6. 3万8千人の「人間国旗」でギネスに挑戦

 


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