中国の国旗を徹底分析!国旗が持つ6つの秘密とは?

国を象徴する旗の事を国旗と言います。国旗は、それぞれの国の歴史・文化・民族・思想などの背景の下に表現されているのが常です。中国の国旗も同様で、特に1949年に建国した中華人民共和国になってできたデザインですから、中国共産党の思想が色濃く表現されています。かなり政治性を持った国旗ですが、シンプルなデザインの中には、中国独自の象徴性が包含されています。

そこで今回は、中国の国旗に隠された国の歴史、そしてデザインの意味などを詳しくご紹介します。

 

中国の国旗を徹底分析!国旗が持つ6つの秘密とは?

 

1. 紅旗と呼ばれる赤がベースの色使い

中国国旗はシンプルな構造のデザインです。色使いは二色。ベースとなる色は赤です。赤地に黄色の星がデザインされています。そもそも赤い旗というのは、フランス革命において使用された旗であった事から、革命を象徴する旗として世界的に広まりました。その結果、資本家と労働者の階級闘争のシンボルとして、広く世界の労働組合の旗に採用されることにもなりました。

国旗としては、社会主義国のソビエト連邦が採用した事から、中華人民共和国も建国と共に赤旗を採用したと言われています。その後に、ソビエト連邦、中華人民共和国の赤旗にならい、ベトナム社会主義共和国がやはり赤旗を採用しています。社会主義国、共産主義国であることの象徴としての意味があるのが赤旗です。

とはいえ、スイスやデンマークなど、社会主義・共産主義とは関係なく、赤い下地をベースに作られた国旗も存在しています。ちなみに、中国語で赤の事は紅と読み書きしますので、日本語で言う赤旗は、中国語では紅旗と呼ばれています。

 

2. 黄色い星の意味

中国国旗は赤をベース色に用いて、黄色で五つの星が描かれています。黄色の五つの星の意味は、一つの大きな星が中国共産党を示しているとされ、その指導力を示す為に最大の大きさで描かれています。大きな星の右側に並ぶ四つの小さな星は、一つ一つに意味があるとされ、労働者、農民、小資産階級、愛国的資本家を示しているそうです。四つの小さな星の頂点は、左側にある大きな星の中心に向かって配置されていて、これは人民が中国共産党という中心の下に団結することを象徴しているとされています。

その一方で、広大な中国の地域的な統合の象徴とも言われていて、大きな星が中国本土を、小さな四つの星は、それぞれに満州、モンゴル、ウイグル、チベットを示しているという解釈もされています。赤い色の下地に五つの黄色い星が描かれた中国の国旗は、五星紅旗と呼ばれています。その事は、中華人民共和国憲法第136条に規定されています。

 

3. 公募によって選ばれたデザイン

現在の中国の国旗は、実は公募によって選ばれたものと言われています。前述の通り、革命を意味する赤旗を用い、お手本となるソビエト連邦の国旗をモチーフにしながら、曾聯松という経済学者でもある芸術家がデザインしたと伝えられています。

曾聯松のデザインには数点の問題点があったとされ、彼の案を修正した上で、最終的に1949年9月27日開催の全国人民政治協商会議大知事全体会議で決定されています。そして1949年10月1日、毛沢東が中華人民共和国の樹立を宣言した、天安門広場での建国記念式典において、初めて国旗として天安門広場に掲揚されました。

 

4. 天安門広場で毎日行われる国旗掲揚式

憲法に規定された五星紅旗は、別途定められた国旗法に基づき、早朝に掲揚し、夕方に降納すると規定されています。

毛沢東が建国を宣言した北京市の天安門広場では、人民解放軍兵士により毎日国旗の掲揚式が行われています。国旗法に基づいて行われているので、早朝に掲揚され、夕方降納されています。その早朝というのは日の出の時間で、夕方というのは日の入りの時間なので、掲揚式を観覧したい方は、かなり早い時間に天安門広場に行かなければなりません。

 

5. 香港とマカオの旗

中国には、一国二制度という制度があります。1997年までイギリス領だった香港と、1999年までポルトガル領だったマカオに対して、中国本土とは違う政治体制を維持させている制度です。

両地域共に現在は中国に属していますが、イギリス領、ポルトガル領だった時代の名残を残して、急激な共産化に反発する住民の生活感情を和らげています。両地域は特別行政区と呼ばれていて、中国国旗とは別に区旗の制定が認められています。言わば両地域の国旗の様な存在に当たります。

香港の区旗は、赤い下地をベースに、中央部分に白色で五つのバウヒニアの花が描かれています。ですから赤旗です。ちなみにバウヒニアは香港蘭とも呼ばれています。赤地は中華人民共和国を、白いバウヒニアは香港を意味し、区旗で一国二制度を表現していると言われています。

 

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マカオの区旗は、緑の下地をベースに、中央部分に白い蓮の花と橋、海が描かれていて、その上に黄色で五つの星が描かれています。こちらは何故か赤旗ではありません。

蓮の花はマカオの象徴、橋はマカオ半島と対岸のタイパ島を接続するタイパ橋で、中国本土と繋がっている事を示しています。五つの星は中華人民共和国の五星紅旗を象徴しており、これによって一国二制度を表現していると言われています。

 

6. リオデジャネイロ・オリンピックで掲揚された中国国旗問題

2016年にブラジルのリオデジャネイロで開催されたオリンピックで前代未聞の事件が発生しました。それは、メダルを獲得した中国人選手へのメダル授与式で掲揚された中国国旗が、本来のデザインでは無かったという事件でした。全く違う国旗が掲揚されたのでは、当該国への不敬に当たりますが、一見すると間違いには気付かないレベルの製造ミスでした。中国国民以外は誰も気づかないレベルではないかと思われるレベルで、中国国民でさえも指摘が無かったらわからないレベルなのではないかと筆者は思います。間違いは、黄色の小さな四つの星の向きにありました。本記事2の「黄色い星の意味」にも記載しましたが、”四つの小さな星の頂点は、左側にある大きな星の中心に向かって配置されてい”なければなりません。読者のみなさんも正式な中国国旗の星の部分を凝視してみて下さい。四つの星は全て傾いて左側の大きな星に頂点を向けています。

ところが、リオデジャネイロ・オリンピックで掲揚された中国国旗の四つの小さな星は、全て傾いておらず、四つが同じ方向を向いているのです。中国オリンピック代表団は強く抗議し、リオデジャネイロ・オリンピック委員会は謝罪し作り替えをしました。しかし火種は飛び火します。リオデジャネイロ・オリンピック委員会は、全ての国旗は当該国のオリンピック委員会の許可の上で製作していると発表したのです。国旗が間違っていたのは確かで、中国側が抗議をするのも当たり前なのですが、間違いの原因は中国側にあったという事が事の顛末でした。前代未聞の事件でしたが、間違いに気付かない様なミスであったのも事実で、どこか笑い話の様な出来事でした。

 

まとめ

いかがでしたか?
広い世界ですが、社会主義国、共産主義国というのは数カ国にとどまります。数少ない社会主義国、共産主義国の一つである中国の国旗は、政治体制を象徴する赤旗である上に、中国独自の表現意図がある事がおわかり頂けたでしょうか。今後オリンピック等で中国国旗が掲揚された折りには、是非小さな星の向きに注目してみて下さい!

 

中国の国旗を徹底分析!国旗が持つ6つの秘密とは?

1. 紅旗と呼ばれる赤がベースの色使い
2. 黄色い星の意味
3. 公募によって選ばれたデザイン
4. 天安門広場で毎日行われる国旗掲揚式
5. 香港とマカオの旗
6. リオデジャネイロ・オリンピックで掲揚された中国国旗問題

 


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