日本と台湾の経済・社会的な関係が強まってくるにつれて、台湾人と仕事をしたりする機会も増えています。また、最近は台湾に住んで、台湾の職場で働く日本人も増えています。
日本人と台湾人は文化的に似た部分も多いですが、日本的な感覚で仕事を進めていたら、日本人の仕事上の「常識」が通じないことや、文化の違いに戸惑う場面も多いでしょう。仕事は、文化の違いによるメンタリティの差が顕著に現れやすい部分でもあります。
そこで今回は、台湾人は仕事においてどんな性格な人が多いのか、そして台湾特有の文化やマナーについてご紹介します。
台湾人と仕事する時に注意すべき7つのマナーとは?
1. ホウ・レン・ソウがない
台湾で仕事をしていてまず多くの人が感じるのは、台湾の職場や台湾の人の仕事の進め方に概して「ホウ・レン・ソウ」(報告・連絡・相談)がない、あるいはそれらしきものはあってもかなり弱いことです。(なお、この点は、中国大陸でも状況は結構似ていますので、台湾というより中華圏の特徴と捉えた方がよいかもしれません。)
たとえば、ある仕事や用事を依頼した場合、日本の職場組織や仕事の進め方だと、適度なタイミングで途中経過や状況を相手に伝えて共有するのが常ですし、新入社員などは、その点、研修や日々の仕事の中でしっかり叩き込まれます。とくに、スケジュールが当初の予定と変わる場合や、仕事の完成時期が当初の予定より伸びたり早まったりする場合、必ず事前にその旨を関係者に伝えて情報を共有します。
ところが、台湾の場合、職場全体で状況やプロセスを共有するということがまずないのが常ですので、常に自分の方からしつこいくらいに何度も確認する必要があります。しつこく何度も確認することは別に失礼には当たりません。
2. 仕事とプライベートの境界線が曖昧
台湾人は、よくもわるくも仕事とプライベートの境界線があいまいな傾向があり、仕事中でも堂々とSNSをしていたりする人も多いです。
さらに、地方の中小企業や家族企業になると、学齢前の子供を職場に連れてきて、子供の面倒を傍で見ながら仕事をしたりという光景も見られますが、これはとくにマナー違反というわけでもないようです。
3. 仕事の進め方が結果オーライ的
「ホウ・レン・ソウ」が弱いこととも関係しますが、台湾は、日本に比べてプロセスよりも「結果オーライ」(結果よければすべてよし)的なところがあります。
もっとも、同じ台湾でも日系企業かローカル系の職場か、また日系企業でもどの程度日本のやり方がその職場に浸透しているのか、またローカル系の職場でも日本人スタッフがいるかどうかで事情は多少異なります。
もしかしたら、「ホウ・レン・ソウ」が弱いことも「結果オーライ」的な物事の進め方をする傾向があることと案外関係あるのかもしれません。
なお、中国語での自己紹介については以下にまとめていますので、最初の挨拶にぜひ参考にしてください。
4. ドタキャンや突然の予定変更もしばしば
台湾人と仕事をする際に気を付けなければならないのは、予定を前もって決めていても、直前で急に予定が変わったりキャンセルされるということがしばしば起こりうるということです(これは、台湾だけでなく中国大陸でもそうです)。
これは、よく言うと臨機応変ということになりますが、そういう突然の予定変更にあっても慌てることのないよう、いざとなった場合のリスク対応や代替策を考えておく必要があります。
5. 会議などが時間通りに始まらないことが多い
日本人の行動パターンとして、5分前行動を心がける傾向があります。つまり、物事が始まる10〜5分前には所定の場所につき、時間ぴったりに物事を開始できるように準備しておくという習慣です。しかし、台湾人と仕事をする場合、約束の時間にきっちりとはじまることは少ないです。
もちろん、みんながみんな遅刻してくるわけではないと思いますが、遅刻してくる人は一定数いるので、習慣が違うのだと思って許容せざるを得ない場合もあります。つまり、時間の観念が日本人とは違うのだということを弁えておく必要があるでしょう。
6. 日本的な「行間を読む」「以心伝心」「気配り」は通じない
日本人は、「行間を読む」「以心伝心」「気配り」というメンタリティがあり、仕事においてもそうした勘を働かせることが求められますが、台湾人にはこうしたメンタリティはありません(これは、むしろ日本人に特殊な点です)。仕事においても言われたことをそのままダイレクトに解しますので、物事を多少ダイレクトすぎるくらいはっきりとストレートに言う必要があります。
また、このこととも関係しますが、台湾人は与えられた仕事さえきちんとやっていればよいという傾向があり、時間内に仕事を終わったからと言って他の社員の仕事を手伝うというようなことはあまり見られません。そのためもあるのか、勤務時間内に与えられた仕事が終わったので、その後就業時間中に内職して夜間に通っている学校の勉強をしていても、とくに咎められることはありません。
なお、台湾の語学留学については以下に詳しく説明されていますので、こちらもぜひ読んでみてください。
7. 組織への帰属意識の低さと高い転職志向
台湾は中小企業・家族企業が多いがゆえに、長く勤めても給与の上昇幅も小さいこと、また組織より家族・友人や自分の利益を最優先するメンタリティがあるため、台湾人は仕事や職場において「組織への忠誠心」や「忍耐強く我慢する」といったようなことはありません。
したがって、ちょっとでもいやなことや理不尽なことがあったりすると、台湾人はあっさりと転職してしまう傾向があります。つい数日前まで一緒に働いていたスタッフが、急に来なくなったからどうしたのかと周囲に問えば、同じビルの中にある同業他社に転職していたりということも決して珍しくありません。
日本だと「どうしたら今の職場で上手くやっていけるようになるか」といったような類の本が結構書店に並んでいますが、台湾ではそうした類の本を書店でまず見かけることがないのは、職場に居心地の悪さを感じたら、そこでどうしたら自分の立場がよくなるのかを考える前に、あっさりと転職してしまうからなのでしょう。
なお、そんな台湾人へ最後に別れの挨拶をする際に使える中国語フレーズを集めましたので、もしそんな場面になった際は使ってみてください。
まとめ
いかがでしたか?
台湾系の職場や台湾人と仕事をする場合、どういう傾向があり、どういう点が日本と違うのか、だいたい把握できましたでしょうか。今回は、どちらかといえば、マイナス面についての指摘が多くなってしまいましたが、考えようによっては、これらはプラス面と紙一重ですし、もちろん日本人と仕事をする場合にはないような良さもあります。
たとえば、フレキシビリティに富んだフットワークの軽さがある点や上下関係がフラットな点は日本人と仕事をする場合にはないような良さですし、また家族・友人を最優先するという点は、上司や同僚の家族などの誕生日にはプレゼントをして家族を職場ぐるみで大切にする点にも現れています。
文化が異なれば当然、仕事の習慣やルール、マナーも異なります。今回紹介したような点をよく理解して、台湾人と仕事をしていくなかで、お互いウィンウィンの関係性を築いていきたいものですね。
なお、以下の記事では台湾でしか使われない中国語を特集しています。仲の良い関係を作る上で掴みとしてぜひ使ってみてください。
台湾人と仕事する時に注意すべき7つのマナーとは?
1. ホウ・レン・ソウがない
2. 仕事とプライベートの境界線が曖昧
3. 仕事の進め方が結果オーライ的
4. ドタキャンや突然の予定変更もしばしば
5. 会議などが時間通りに始まらないことが多い
6. 日本的な「行間を読む」「以心伝心」「気配り」は通じない
7. 組織への帰属意識の低さと高い転職志向