ドイツ国旗を徹底分析!国旗が持つ6つの秘密とは?

ドイツ国旗を徹底分析!国旗が持つ6つの秘密とは?

2014年、サッカーW杯で24年ぶり4度目の優勝を果たしたドイツ。秋には日本でも各地でオクトーバーフェストというドイツのビール祭りが開催され、冬にはクリスマスマーケットも催されます。そんな関わりの深い国、ドイツの国旗についてあなたはどのぐらいご存知ですか?今回は、ドイツの国旗にまつわるエピソードを6つにまとめて詳しくご紹介します。

 

ドイツ国旗を徹底分析!国旗が持つ6つの秘密とは?

 

1. ドイツ国旗の由来

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ドイツの国旗はご覧の通り、黒、赤、金(表現上黄色ですが、本当は金色です)の三色の段で構成されています。由来は諸説存在し、一方では神聖ローマ帝国の紋章(金地に赤のくちばしと爪をもった黒い鷲)が礎であるともいわれますが、最もポピュラーな説としては、19世紀の頭にナポレオン軍との戦いに参戦した学生義勇軍の軍服をモチーフとして採用されたものといわれています。つまり、黒いマント、赤い肩章、金ボタンに由来しており、これらは自由と統一の象徴なのです。また同時に三色にもそれぞれ意味が与えられており、黒、赤、金は勤勉、情熱、名誉を表すとも言われています。1919年のワイマール憲法によって、この三色がドイツ国家を象徴する色とされ、ドイツ連邦共和国の憲法にあたる基本法(22条)で現在の色の配列が規定されました。色使いだけでも雄々しさを感じますが、こうした歴史に基づいて制定されたということなら、何だか納得がいきますね。

ところで、現在はこの三色に規定されているドイツ国旗ですが、実はこれまでに幾度か変遷しています。国旗の変遷というのは、国のシンボルが変わるという事なので、歴史的にとても大きな変化がその時に訪れていたという証です。ここでは当時のお国事情も簡単に交えながら、どのように変遷していったか見ていきたいと思います。

 

2. 帝政時代のドイツ国旗

まずこちらが帝政時代(北ドイツ連邦 1871~1918)にドイツの国旗とされていた模様です。

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1871年にドイツが帝国としてひとつにまとまった時から1918年にベルサイユ条約でドイツが降伏するまでのドイツ第二帝国の国旗です。ですので、第一次世界大戦においては、これがドイツの国旗として制定されていました。黒と白は、北ドイツ連邦で盟主であったプロイセン王国の色である黒と白を取り入れたとされています。

 

3. ナチス統治時代のドイツ国旗

また、戦前にナチスが政権を取った際にも、国旗は変更されています。当時ヒトラーはナチスの党旗をドイツの国旗としたのです(ハーケンクロイツ旗 1935~1945)。

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鉤十字は、かつてドイツの実業家であり、考古学者でもあったハインリヒ・シュリーマンがトロイの遺跡の中でこの模様を発見しており、これをインド・ヨーロッパ族の共通の宗教的シンボルと見なした事に着目したナチスが採用したという由来の説があります。アーリア人が優越であるということを国旗のシンボルを使って示そうとしたという訳です。

余談ですが、第二次世界大戦以降、このハーケンクロイツ(鉤十字)を、公共の場で使用する事を禁じており、もしそれが発覚した場合は民衆扇動罪で処罰されるそうです。

 

4. 東西分裂時代のドイツ国旗(東独)

そして1945年の5月、ドイツは無条件降伏しましたが、同年の9月にソ連がベルリンの壁を作ったことで、ドイツは東西に分裂してしまいました。その際、西独は元々の三色旗に戻しましたが、東独は三色旗を元に、新しい国旗を作りました(1959~1990)。

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1990年に東西が統一された際は、旧西独の三色旗、つまり本来の国旗であった三色旗を国旗として採用しました。このように、基本的にナチスや東西分裂の時期以外においては、ドイツの国旗はほぼ一貫しています。国旗の変遷というのは、歴史的に大いなる転換点の表れでもあるので、そうした点に着目すると国旗を眺める楽しみが増すかもしれませんね。

 

5. ドイツ国旗とドイツ政府旗

実は、ドイツを含め諸外国では政府旗(および外交旗)というものが存在します。

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政府旗というのは、政府機関によって公的機関にのみ掲げられる旗のことです。ドイツの場合は国旗の模様をベースとして、中央に鷲の紋章が据え置かれていますね。鷲は権威の象徴であるので、政府旗として使用されているのだそう。ちなみに、この政府旗をベースとしてデザインされている市民旗というのも存在します。

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良く似ていますが、細部をみると政府旗とはやはり異なっていますね。こちらは一般市民でも使用可能な旗なので、場合によっては見かける機会も多いかもしれません。

 

6. ベルギー国旗と似ている事に意味はあるの?

配色も並びも似ている国旗は、世界の中でもいくつか存在します。ドイツ国旗も同様に、非常に似た模様の国旗があります。隣国のベルギー国旗です。ドイツ国旗は、上から黒・赤・金と三色旗で、ベルギー国旗は左から黒、黄、赤の三色旗となっています。縦横の比率は、ドイツは3:5、ベルギーは13:15です。

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結論からいうと、この二つの国旗に相関性は無いようです。ベルギー国旗はむしろ、元々はフランス国旗のトリコロール(三色旗)を参考として制作されたものです。1789年にオーストリアからの支配への抵抗する反乱が起きたときに使われた事から始まり、1830年にオランダからの独立運動が起こり翌年の31年に正式に国旗として制定されました。ベルギーの三色は、黒が力、黄は充実、赤は勝利を表しているようです。「黒地に赤い舌を出した黄色い獅子」というブラバンド公家からとったものといわれています。

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隣国同士で絶妙な違いなので、何か関連性がありそうなものですが、由来も全く異なるようです。それはそれで何だか興味深いですよね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
国旗ひとつをとってもさまざまなエピソードが存在することはとても興味深いですよね。国の象徴であるということは、それだけ大きい意味が込められているということです。国の事を知りたいと思うのであれば、まずは看板ともいえる国旗に注目してみると、歴史や国の内部事情への理解が深まるかもしれません。

 

ドイツ国旗を徹底分析!国旗が持つ6つの秘密とは?

1. ドイツ国旗の由来
2. 帝政時代のドイツ国旗
3. ナチス統治時代のドイツ国旗
4. 東西分裂時代のドイツ国旗(東独)
5. ドイツ国旗とドイツ政府旗
6. ベルギー国旗と似ている事に意味はあるの?


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