ロシアの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!

(flickr By Un Bolshakov)

ロシア人と親しくなると、冠婚葬祭に招かれることもあるでしょう。中でもお葬式は、粗相が許されないイメージがあるので緊張しますよね。しめやかに故人を偲ぶためには、葬儀での振る舞い方を事前に把握しておく必要がありますが、そもそもロシアのお葬式はどんな流れで行われるのでしょうか。今回は、ロシア正教の葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識をご紹介します。

 

ロシアの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!

 

1. 葬式の流れ

ロシア正教では、死後3日目に埋葬式が行われます。ロシアでは火葬もされていますが、土葬のほうがずっと多いです。どうして3日目かと言うと、永眠者の魂は、死後3日間は家族のそばにいると考えられているからです。この間に、亡くなった方の親族は、葬儀社を手配して、棺を選んだり追悼供養の場所を決めたりします。

埋葬式の日に、ご遺体は霊安室から、家か教会か葬儀会館に移されます。そこで、知らせを聞いて集まった親戚や知人が、棺に入った故人に花をたむけて別れを告げたり、司祭がお祈りをしたりします。この式が終わると、亡くなった方が入った棺は車で墓場に運ばれます。故人に近しい参列者もそれに続いて墓場に向かいます。墓場では、棺桶の中に故人の物や十字架が入れられ、教会の聖なる土がご遺体にかけられます。そして蓋がかぶせられて、棺は墓掘り人達が掘った穴の中に入れられます。穴は小さな山ができるまで土で埋められ、最後に身内の人達がその山を枝や花で綺麗に飾ります。

 

2. 追善供養

葬式の後、食堂などで、追善供養(поминки パミーンキ)が行われます。家でする人もいるそうですが、大人数のため今は飲食店でされることが多いそうです。追善供養では、故人の親戚などによる挨拶の後、食事が供されます。クチヤ―(кутья)という米と干しぶどうで作られた粥がまず出され、そのあとブリヌイ(блины)というロシアのクレープが出されるのが昔からの習わしです。飲み物は、ウォッカやジュースなどが出されます。故人用にも、水やウォッカが入ったコップが用意されます。この追善供養では、亡くなった人の話などをします。

追善供養は、命日から9日後と40日後にも、故人の親戚や親しい友人によってなされます。ロシア正教では、死後40日まで死者はこの世にいて、9日目から40日目までずっと自らの罪を見させられていると考えられています。死者にとって大変辛い時期ですので、1人で苦しまないようにみんなで集まって支えてあげるのです。そして、40日目にやっと、死者は天使によって、神様のところへ連れて行ってもらえるそうです。40日目の追善供養では、故人の親族などによって40の物が配られることがあります。お茶の葉やグラスなどを40個用意し、必ず配りきらなくてはなりません。追善供養は、亡くなった日の1年後にもまた行われます。その後、1年ごとに供養するかどうかは人によるそうです。この追善供養とは別に、死者が死後の世界に行きやすいように、埋葬前と死後3日目と9日目に、教会でパニヒダという永眠者への祈りを捧げる儀式をする人もいます。

 

3. 葬式の服装

参列者の服装に厳しい決まりはないですが、暗めの色の地味な服を来て行くのが普通です。男性は、ジーパンで行く人もいますが、色使いは抑えています。ダークカラーのスーツでももちろんいいです。女性も、派手ではない服装で、スカートは短すぎずセクシーすぎないようにしてください。化粧も控えめにしましょう。ロシア正教の教会に入るときは、男性は無帽、女性は頭を何かで覆わなければならないので、女の人はショールを忘れないようにしましょう。亡くなった人は、男性はスーツ姿で、女性は生前気に入っていたワンピースなどを身につけて棺の中に収められることが多いです。未婚の女の子の場合は、ウェディングドレスを着せて埋葬することも珍しくありません。

 

4. 香典や焼香にあたるもの

ロシア正教の葬式では、香典や焼香にあたるものはありません。式の費用の助けとして、親族間や同僚・友人間でお金が集められることはあります。ロシアでは、このお金にも、結婚祝いにも、出産祝いにも、お返しはされません。また、焼香とは少し違いますが、参列者全員がする行為として、棺桶が穴の中に入れられた後、それぞれの人が土を手で棺の上に3回投げる習慣があります。

 

5. お墓

墓石や墓場は、故人が亡くなってから購入する人が多いです。墓石には、名前と、何年から何年まで生きたか、「よい父だった」や「教授」などの肩書が書かれます。ロシアの墓場では、五芒星形が掲げられたソ連時代のものや、墓石に十字架を載せたものなど様々なスタイルのお墓が見られます。最近では、故人の生前の写真が彫刻されたお墓がよく立てられているそうです。

 

6. 葬式参列の流れとマナー

故人の死は、有名人でない限り新聞には載らず、たいてい電話で知らされます。その時、式の日時や場所も教えてもらえます。故人の親族と話す機会があれば、「Я соболезную.(ヤー サバレーズヌユ)お悔み申し上げます」と伝えてください。お葬式には、花束を持って行きましょう。亡くなった人に捧げる花の数は偶数と決まっています。花の種類は何でもいいですが、故人が生前好んでいた花か、それが分からないときはカーネーションを持って行くといいです。故人にお花を捧げて、別れを告げましょう。口に出さないで、心の中でつぶやけばいいのです。お墓へ向かうときは、バスが用意されていることが多いので、他の人と一緒に乗り込んでください。追善供養の会場へも、お墓の後このバスで向かうことが多いです。会場では、上記に挙げた順番を守って食べ、お酒を飲みすぎないようにしてください。この供養が終われば、散会となります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、ロシアで主流な宗教であるロシア正教のお葬式についてご紹介しました。ロシア正教の宗教観も少し垣間見られたのではないでしょうか。もちろんロシアにも、他の宗教を信仰する人たちがたくさんいます。参列前に、そのお葬式がどんな形式で行われるのか、周りの人に確認してから赴いてくださいね。

 

ロシアの葬式・葬儀にまつわる6つの豆知識!

1. 葬式の流れ
2. 追善供養
3. 葬式の服装
4. 香典や焼香にあたるもの
5. お墓
6. 葬式参列の流れとマナー

 


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