ドイツと言えば、真っ先にサッカーをイメージする方も多いと思います。日本のベスト16という初快挙で沸いた2018年のFIFAワールドカップでは、前回王者のドイツがまさかのグループリーグ敗退という結果に終わり、ドイツのみならず世界中のドイツサッカーファンが悲しみと同時に驚きに包まれたというのは、記憶に新しいところですよね。
それでも、ドイツ人のサッカー好きはそんなことではもちろん止まりません。ブンデスリーガも毎シーズン大盛り上がり、2022年カタールで行われるワールドカップに向け、また国民全員が熱くなっています。
では、実際にワールドカップ中のドイツは一体どのような雰囲気なのでしょうか?今回は、ドイツ在住の筆者が体験・経験したワールドカップ時のドイツの様子に関してまとめていきます。
ドイツ人にとってワールドカップとは?現地在住者が感じる7つの印象!
1. クリスマスは家族で、ワールドカップは大勢で!
ドイツにおいてワールドカップは、もはや国の一大イベントです。同じくしてクリスマスも一大イベントと言えますが、ドイツ人曰く、これらはどちらも比べようがないほど同じくらい大切にされていると言います。
言いかえるなら、クリスマスは家族が一様に集うファミリーのためのイベント。対してワールドカップは、より大勢の友人、他人も含め、国民みんなで盛り上がれるイベントだと言えるでしょう。
2. 外に出て応援しよう!
では、ドイツ人達はどこでワールドカップを観戦しているのでしょうか?実際のスタジアムは大盛り上がりであることは間違いないのですが、ドイツの各地の酒場や公園のような広い敷地では大きなスクリーンが臨設され、そこでパブリックビューイングをすることができるようになっています。
普段クールなドイツ人達も、ワールドカップでは無邪気に大はしゃぎ!スタジアムさながらの盛り上がりと臨場感を味わうことができますよ。
3. 罵倒しているのか、応援しているのか
ドイツ人によくありがちなことなのですが、真剣になると大声で勢いよく早口でしゃべります。日本人もそうなる人は居るとは言っても、ドイツ人の大声のレベルは桁違い。声帯や骨格の違いで、あれほど大きな声が出るのかと感心してしまうほどです。
パブリックビューイングなどに参加すると、ゲーム展開が良かろうが悪かろうが、中には「そうだ!いいぞ!ナイスだ!」「なんでそんなミスになるんだ!」など真剣に怒鳴り散らす様に喜ぶ、またはブーイングを起こしているドイツ人をたくさん見かけます。
見ていると、思わず「どっちの味方なんだ!?」と突っ込みたくなる場面ですが、それも大勢でサッカーを観戦する楽しみの一つですよね。
4. ビールとソーセージは必須
サッカー観戦には、やはりビールは欠かせませんよね。ある程度の規模の野外会場なら、その場に飲食店用のテントも臨設されることがほとんどです。
ビールはもちろん生(ドイツ語では、ファスと言います)、そのお供には、観戦中も気軽に食べやすいソーセージ(ドイツパンがだいたい付いてくる場合がほとんど)が好まれるようです。
ドイツ人と、サッカーを見ながらビールとソーセージを食べる、まさにドイツを凝縮したようなひと時を味わえます!
5. 期間中はどこでもサッカーの話題で持ち切り
日本でも前回ワールドカップのグループリーグ突破には、多くの国民がその喜びに浸りましたよね。しかし、いざ日常生活で友人や会社の同僚とその話をするかと言えば、案外それほどではありませんでしたよね。
ドイツでは、若者はもちろん50~60歳を過ぎる年代の人たちの間でも、ワールドカップの話で持ち切りです。会社のオフィスでも、昼食のランチ時にも。街中でも、至る所にポスターやバスの広告が塗り替えられる他、最近ではSNSの発達によりインターネット上でもたくさん取り上げられるようになりました。
熱狂的なサッカー好きがそもそも多いことはもちろんなのですが、ワールドカップにある程度興味を持つ人口(若い男性だけではなく、本当にあらゆる世代、女性も含め)が日本に比べ断然多いことも、こうした大きな盛り上がりを見せる理由の一つと言えるのかもしれません。
6. 前回王者が一転して、グループリーグにて敗戦しましたが…
ドイツと言えば、2018年ロシア大会ではグループリーグで惨敗してしまったことが大きな話題になりましたよね。その前々回のブラジル大会では、優勝候補でもあったブラジルに大差をつけた圧倒的な勝利を見せてくれただけに、今大会のサポーターたちの絶望は計り知れないほどであったと思われます。
日本のサッカーファンらが暴動を起こすニュースはほとんど見ることはありませんが、海外のサポーターたちが試合後に問題行動を起こすことはそれほど珍しいことではありません。大きなニュース沙汰にならずとも、街では物が壊されたり、ゴミが巻き散らかされたりと何かしらの影響が起こることは少なくないのです。
2018年W杯のドイツの敗戦直後(大敗後、と新聞には書かれていましたね)は、このような小さな問題は起こっていたかどうかは別として、全国的にもそれほど大きな問題は上がってこなかったようです。ここにも、ドイツ的なモラルの高さが伺えますよね。
7. ワールドカップ後、さらに複雑化したドイツとトルコの関係
さて、試合直後には問題は無かったと書きましたが、今回のドイツ代表らを巡り、ドイツとトルコの関係はさらに悪化する形となりました。
戦後復興の目的で、西ドイツを中心に多くの移民を受け入れ、現在ではトルコ系の移民が最も大きな割合をしめるほどになったドイツ。以前は、サッカー代表は白人(ゲルマン系)に限っていたそうですが、そういった民族的な差別になりうる規制は徐々に緩和され、2018年のワールドカップではトルコ系の背景を持つ選手も中心選手として数名選ばれていました。
彼らの出生自体はドイツなので問題は無いのですが、彼らがワールドカップ以前に二国間の政治問題にまで発展しかねない国際問題を引き起こした事例もあり(ここでは詳細はあえて触れませんので、詳しくはニュース記事をご覧ください)、今回の敗戦の理由をかれらに押し付ける形で訴えるドイツ人サポーターも少なくないのです。
とはいえ、ドイツで生まれ教育を受けているトルコ系ドイツ人も多いこの社会、各ニュース番組の問題の取り上げ方や政府の対応一つ一つにもとても気の使う事例であることは確か。国際社会ならではの問題となったのではないでしょうか。
まとめ
ワールドカップ開催中の街の盛り上がりは、地域のお祭りを凌ぐ大盛況ぶりです!4年に一度しかないのですが、それでもドイツらしい雰囲気を味わえることは間違いなしですね!
大勢が集まる場所を狙ったテロや犯罪行為なども増えているので、安全にはくれぐれも注意して、魅力いっぱいのドイツサッカーを是非楽しんでくださいね!
ドイツ人にとってワールドカップとは?現地在住者が感じる7つの印象!
1. クリスマスは家族で、ワールドカップは大勢で!
2. 外に出て応援しよう!
3. 罵倒しているのか、応援しているのか
4. ビールとソーセージは必須
5. 期間中はどこでもサッカーの話題で持ち切り
6. 前回王者が一転して、グループリーグにて敗戦しましたが…
7. ワールドカップ後、さらに複雑化したドイツとトルコの関係